こんにちは及川です。
「冬より夏の方が塗装しやすいんでしょ」と言われる理由の第2弾!
前回の終わりに「基準塗布量」という言葉をご紹介致しました。
まず【基準塗布量とは?】
施工工事に必要な塗料の量のことです。
例えば10㎏の塗料が必要な外壁で、良く伸びるからと5㎏の塗料で仕上げてしまえば、実際の塗料は半分しか使用されていないことになります。
塗料が半分になると、明らかに見た目に分かるのでは?とお思いになる方も多いでしょう。
しかし、実際には塗った後の外壁を見ても、どのくらいの塗料で塗ったかは分かりません。
外壁を一部くりぬいて専門機関に持っていったり、専門の調査員が使用する膜厚計などを使用すれば分かりますが、現実には不可能なお話です。
外壁塗装は「色を付けるため」に行うのではなく、「きちんとした塗膜を得て、外壁材の防水性能を確保するため」に行うものです。
色を付けるだけでは、DIYの工作と変わりません。
プロの塗装屋として恥じない施工をするためには、この基準塗布量は絶対に守らなければならないのです。
それでも、「夏は塗料が良く伸びる」という言葉が横行していることを考えると、どれだけの職人さんが、塗装工事をただの色付けだと思っているのか不安になります。
良く伸びるから薄塗りで仕上げました!では全く意味がありません。
夏も冬も関係なく、きちんとした塗膜を確保することが重要だということは、
繰り返しお伝えしたいポイントです。十分にお気を付けください。
【冬に塗装をしてはいけない本当の理由について】
最後に冬のお話です。
もうお分かりとは思いますが、冬は塗料が伸びないから塗装に向かない、
というのは、夏と同じで真っ赤なウソです。
ただし、寒すぎる冬には塗装をしてはいけないというのは事実です。
雪が降ったら塗装が出来ないのは先にも書きましたが、雪でなくても塗装をしない方が良いタイミングというのがあります。
それが「寒すぎる冬」。
具体的には5℃以下の気温のときです。
塗料のカタログには、5℃以下の気温では塗装を避けてください。と書いてあることが多いです。それは、撹拌(かくはん)や硬化に影響が出てしまう可能性があるからです。
塗装会社によっては、5℃以下でも塗装は出来る!不具合も起きていない!という声も聞きますが、これも基準塗布量と同じで、守るべき基準の一つです。
守らなくてよいことはカタログには記載されないはずです。
例えばタクシーで考えると、40㎞制限の道路があったとして、毎日60㎞で走っているけど捕まったことがない!という人と、40㎞で走っていて、もちろん事故を起こしたこともありません、という人。
急いでいるときならまだしも、大切な人と乗るタクシーや、大切な式に向かう場合など、どちらを選ぶかは明白なはずです。
お家も同じで、基準を守っていないけど不具合は起きていません!と声高に叫んでいる業者さんは、何があっても基準は守りませんので、それ以外にも様々な基準や常識まで、守れない場合も多いのではないでしょうか。
静岡では山間部を除いて、真冬であっても作業開始の8時9時なら5℃以下になることは稀です。そう考えるとあまり気にしなくても良い部分でもありますが、あまりに早く薄暗い6時7時に作業しようとしてしまうと、この基準を守れなくなるので注意が必要です。
なので「冬に作業をしてはいけない」というのは、ある意味では真実です。
きちんと知識を持っているかどうかを確認するのが重要ですね。
【冬よりも夏の方が塗装しやすい理由のまとめ】
冬より夏の方が塗装しやすい!についてのまとめです
・冬は作業時が短くなってしまう
・天候により作業が中止できない可能性もある
が大きな印象として、夏の方が良いというイメージがあるようです。
しかし、実際には夏でも冬でも同じ品質で施工をする事が職人です。
なので「夏の方が塗料が良く伸びる」には要注意です!
しっかりとした業者さんでなければ、メーカーの定める基準塗布量を守らず、色だけ付ける薄塗りになってしまいます。これは施工後には見抜けません。
そして、「5℃以下の寒すぎる冬」も撹拌や乾燥に影響があり、注意が必要です。実際にはい静岡では稀ですが、真冬の朝型に無理な施工をするのは気を付けましょう。
塗装に関しては有象無象の知識が転がっていて、どの知識も本当のように感じます。しかし、実際には何となくの思い込みや、地域ごとの情報の差、親方や営業マンの一方的な意見で作られてしまっている場合があります。
そうした場合は、メーカーの基準や有資格の診断士を参考に、情報を見極めることが重要です。
あくまで個人の考察ですが、ぜひご参考になさってください。